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【知らないと損する!】飲食店の原状回復とは?工事費用を抑えるためには

2024.02.22

経営をしていた飲食店をたたむとき、借主は賃貸物件を貸主に引き渡すときに原状回復の義務が発生します。ほとんどの借主は、工事費用を抑えてトラブルなく貸主に引き渡したいと考えるはずです。

しかし、原状回復工事にあたって、コストや工事範囲で貸主と借り主の間でトラブルが起きるケースもあります。

最悪の場合、民事裁判まで発展する可能性もあります。この記事を最後まで読んでいただければ原状回復についての基礎的な知識を身につけることができます。

その知識を活かせば、トラブルも損もせずに円満に貸主へ建物を引き渡せるようになります。

原状回復とは?

簡単に言えば、借りていた元の状態に戻すことです。

飲食店の店舗で言えば、以下が該当します。

  • 厨房機器や客席の間仕切り壁などを解体・撤去
  • 壁や床の修復や汚れた部分についての清掃・塗装を行う
  • 壁や床に物を固定するために空けた穴の修復

 

注意点として、賃貸物件の場合は負担する必要がない経年劣化や通常損耗でも、借主は復旧することが求めらるケースもあります。

 

原状回復の種類

原状回復は主に2種類に分かれます。

必ずしも退去時に工事が必要な訳ではありません。

スケルトン工事

建物の躯体以外を全て撤去する工事になります。

店舗内の厨房機器や間仕切り壁はもちろん、水道配管や電気配線まで撤去し、骨組みだけの状態にします。

居抜き

店舗内の厨房機器やトイレやテーブル・椅子などの資材をそのまま残した状態で貸主に返すことを言います。

原状回復の工事費用がかからないため、大幅にコストを下げることができます。

しかし、契約書の内容に退去時はスケルトン工事を行うように指定されている場合は、原状回復義務を避けることはできません。

また、居抜きの状態で引き継いでくれる人を探す手間もかかります。

トラブルが起こる要因

借主が物件を借りるときは、物件の立地や敷金・礼金ばかりに注目してしまい、原状回復の条件について気にしない人が多いです。

そして、退去時にはじめて元通りに修繕する義務を知ります。

事業がうまくいかず撤退する場合高額な工事費用を用意できず、結果貸主と借主の間で揉める事態になります。

実際の事例

1件だけ実際の事例をご紹介します。

貸主は借主に対して、あらかじめ賃貸契約の中に店舗の工事範囲について定めているのが一般的です。

例えば、退去時は天井のクロスや壁紙のみの貼り替えまでで良いのか、コンクリートが見える状態まで内装を取り壊しをするのかといった具合にです。

しかし、貸主と借主の間で工事範囲の認識がずれてしまい、問題となったケースがありました。

認識がずれたままだと、余分な工事を行ってしまったり、最悪工事のやり直しを命じられるリスクがあります。

対策として、原状回復工事の範囲は貸主と工事業者の立ち会いのもと確認しましょう。

また、議事録などの書類を作成し、双方に行き違いをなくすことが大切です。

国交省のガイドラインによれば、原状回復は退去時の問題ではなく、入居時の問題です。

理想は契約をする前に問題を解決できればいいのですが、難しいのが現状です。

費用が高くつきやすいケース

同じ飲食店でも、どんな料理を提供しているのか、どこでお店を構えているかによって退去費用が大きく変わってきます。

重飲食店

焼肉・中華・ラーメン店のような重飲食店では、大量の油や火を使って調理をするため、強い臭いや大量の煙が発生します。

外部へ排出するために、大規模な排気ダクトを設置・固定するために駆体に穴を空けます。

また。油によって壁や床が汚れ、退去費用が高額になるケースが目立ちます。

建物が高級または新築

立地が良く人気が高い建物は需要が高いため、修繕費用が高くつきます。

空調設備や入退館のシステムの変更の手間もかかるのも要因の1つです。

工事費用を下げる方法

店舗の原状回復工事は高額です。

そこで少しでも費用を抑えるためのポイントをお伝えします。

見積もり項目・数量をチェックする

入居時よりも高い資材を使っていないかを確認しましょう。

貸主は借主が退去するのを利用して、古くなった設備を一新しようと不当な工事を求めてくる可能性があります。

仮に設備が古く当初のものが廃盤になっていたとしても、貸主が最新機材を購入するための費用を借主に請求することはできません。

また、見積もりに記載されている価格や面積と対象部分に注意しましょう。

工事範囲の面積が実際の工事を行う範囲と異なっていることもあります。

建物のトイレや階段のような、借主が工事をする必要がない「共用部分」も工事の対象にして、不当に請求してくるパターンにも要注意です。

相見積をとる

相場を知ることで不当な金額を請求されるのを防ぐことができます。

また、業者間同士で価格競争が生まれるため値引き交渉の余地が生まれます。

しかし、価格の低さばかり気にしていると質の悪い業者の可能性もあるので注意が必要です。

居抜き物件を取り扱っている業者に連絡をする

必ずしも店舗を引き渡すときに原状回復をする義務はありません。

飲食店を経営したい人が見つかれば、貸主の合意のもと設備や物資をそのまま引き渡すことができれば、工事自体をしなくて良くなります。

工事範囲の交渉をする

原状回復の工事範囲を小さくすれば、必要な人工と工事日数を減らすことができます。

そもそも工事が必要なほど建物が汚れていなければ、クリーニングだけで済む可能性もあります。

実績のある業者を使用する

原状回復に特化した業者を選びましょう。工事に不慣れだと作業日数が伸びてしまいます。

依頼してからレスポンスや対応が早いと信頼できる業者の可能性が高いです。

トラブルを回避するためには

建物を引き渡すときは、順調に物事が進むとは限りません。

そのため、多少のトラブルが起きても問題ないように工夫することが重要です。

解約予告期間を確認する

経営しているお店をたたむときは、解約予告期間を確認しましょう。

借りている物件からはすぐに出ることはできません。

事前に建物のオーナーに退去することを伝える義務があるからです。

一般的に退去の約3〜6ヶ月前に貸主に対して解約予告をする必要がありますが、オーナーごとによって考え方が違うため、借主と貸主の間で結んだ賃貸契約書を確認しましょう。

工期に余裕を持たせる

物件によっては工事ができる曜日や時間が決まっているケースも存在します。

また、立地が狭いと資材の搬入・搬出に時間がかかり、予想以上に工事の期間が長引く可能性もあります。

建物の返却が遅れるとその分余計な家賃が発生したり、違約金が発生する可能性があります。

円満に建物を引き渡すためにできること

いかがだったでしょうか。

スムーズに建物を引き渡すためには、日頃から貸主と良好な関係を築く必要があります。

最終的に建物をどうするかは貸主の裁量の範囲です。貸主の承諾を得ていれば民事裁判までいくことはまずありえません。

借主は借りている物件のレイアウトを大幅に変えるときは、必ず貸主の許可を得ましょう。

退去するときのことも考えておかないと、いざというときに予想以上の出費になってしまい、移転ができず身動きが取れなくなってしまいます。

また、建物を借りるときは賃貸借契約をよく読んで読んでおきましょう。

借主側に明らかに不利な内容がかかれていた場合でも、サインをしてしまうと契約を破棄できず、トラブルの原因になります。

リスクヘッジをしておくことで、致命傷を避けることができます。

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